ジョン・チヂミ


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雑学の宝庫 

更新日:
 2011年6月30日


◎ジョン(전)、チヂミ(지짐이)
 韓国式お好み焼き。

 魚介、肉、野菜などを、小麦粉を水で溶いたものと一緒に焼いた料理で、日本のお好み焼きに似た料理です。 日本では、一般的に「チヂミ」という名称で知られているようですが、韓国では「ジョン」と呼ばれています。通常の「ジョン」は、ネギが具になっているため、「パジョン」と呼ばれています。したがって、日本人が「チヂミ」と呼んでいる料理は、韓国では「パジョン」と呼んでいる料理を指しているものと思います。
 「ジョン(전)」は、漢字の「煎」です。この漢字は、「前」と「火」が組み合わせられていて、「前に置いて火で焼く」という意味だそうです。したがって、元々、「ジョン」という言葉は、「鉄板に食用油をひいて焼く料理の総称」として使われていたようです。
 「チヂミ(지짐이)」は、「焼く(チヂダ:지지다)」という動詞の名詞形で、そのまま日本語に翻訳するならば、「焼いたもの」、「お焼き」というような意味です。「チヂミ」という言い方は、韓国の南東部、慶尚道の方言だそうです。
 標準語では「プチムゲ(부침개)」です。「プチムゲ」は「チヂミ」と同様、「焼く(プチダ:부치다)」という単語の名詞形です。「ゲ」は「~のもの」などの名詞を表すそうです。すなわち「プチムゲ」とは、「フライパンなどに油をひいて焼いたもの」という意味です。ただし、「プチムゲ」という言葉は、家庭で間食用として作る簡単な料理を指すことが多く、飲食店のメニューで見ることはないようです。
 「ジョン」で一般的なものは、「パジョン(파전)」です。「パ(파)」とは、「ネギ」のことです。専門店のパジョンは結構、大きいので、2~3人で1枚食べれば十分、というくらいのボリュームがあります。外はサックリしていて、中はしっとりと焼きあがっているのが美味しいパジョンです。パジョンは韓国の伝統酒であるマッコリやドンドンジュのような濁り酒が合うと言われています。このため、このようなお店には必ず、これらのお酒があります。
 また、「雨が降るとマッコリを飲みながら、パジョンを食べたくなる」という人がいるくらい、韓国では、雨の日の食べ物としてパジョンが思い起こされるようです。これは、かつて雨で農作業ができない日に、家で簡単に作れるジョンを食べながらマッコリを飲んだという伝統から、そのように言われるようになったという説が有名です。また、食欲のない雨の日にたっぷりの油で焼き上げた栄養価のあるチヂミを食べて元気づけよう、ということで言われるようになった、という説もあるようです。いずれにしても、雨の日にはジョンを食べるというのが、韓国では一般的なようです。
 日本では、お好み焼きにソース、かつお節、青海苔などをかけて食べま すが、韓国では、ジョンには醤油ベースのタレを付けて食べます。通常、その醤油ベースのタレには、ぶつ切りの玉ネギやゴマが浮かんでいます。
 「ジョン」は、その材料によって、非常に多くの種類があります。ネギのジョンである「パジョン」が有名ですが、これ以外にもイカや海老など海産物を使った「ヘムルパジョン(해물파전:海産物とネギのジョン)」、刻んだ白菜キムチを入れた「キムチジョン(김치전:白菜キムチのジョン)」、すりおろしたじゃがいもを生地に混ぜ込んで焼いた「カムジャジョン(감자전)」のほか、多くの種類があります。また、緑豆をひいて生地にして焼き上げた「ピンデトッ(빈대떡)」もジョンの一つです。

◎エホバクジョン(애호박전:朝鮮カボチャのジョン)
 「ホバク(호박)」は「かぼちゃ」ですが、「エホバク(애호박)」は「子供かぼちゃ(早生かぼちゃ)」です。日本にあるようなカボチャとは異なり、ズッキーニのよう細長い形状のカボチャでで、皮はきれいな緑色をしています。身は柔らかく、クセがないので、あっさりしていて非常に食べやすいカボチャです。これに水溶き小麦粉の衣をつけて揚げたものがエホバクジョンで、単品の料理としてよりも、付け合せ(반찬:バンチャン)として出されることが多いです。

◎カムジャジョン(감자전)
 「カムジャ(감자)」とは、「ジャガイモ」のことです。「カムジャジョン」は、すりおろしたジャガイモに軽く塩で味をつけ、フライパンなどで焼くだけという手軽さもあって、家庭でよく作られている料理です。すりおろしたジャガイモに玉葱や人参などを加えて焼いたものや、生地の表面に春菊や唐辛子などを用いて花を模した飾りをあしらったカムジャジョンもあります。
 生地は、火を加えるとジャガイモのデンプンが糊化して粘りが出るため、もちもちとした独特の食感が楽しめるのが特徴です。粉唐辛子などを混ぜた薬味醤油をつけて食べます。
 また、お酒の席では、直径20~30cmくらいのピザのような大きさで作って、皆でつついて食べますが、おもてなしをするような場合は、直径10cmくらいの小さいものを沢山、焼いて、一人、1枚ずつ取って食べます。

◎キムチジョン(김치전)
 具にキムチを入れたジョンです。ザク切りにした白菜キムチ、豚肉、ネギなど具として使ったジョンです。生地がキムチのオレンジ色に染まっているのが特徴的です。

◎クルジョン(굴전)
 「クル(굴)」とは「牡蠣」のことです。「クルジョン」は、牡蠣をジョンを作るタネ付けて、たっぷりの油で焼いた料理です。ほかのジョンのように大きなものではなく、1つの牡蠣で1つのジョンになっています。非常にシンプルな料理ですが、カキの美味しさを味わうことができて、非常に食べやすい料理です。刻んだ唐辛子や唐辛子粉を入れた醤油につけて食べます。



◎クルパジョン(굴파전)
 「クル(굴)」は「牡蠣」のことで、「クルジョン」は牡蠣、1個ずつのジョンですが、「クルパジョン(굴파전)」は、普通のジョンのように大きなジョンです。ここで「パ(파)」とは、「ネギ」のことです。一般的なジョンは、ネギを使ったパジョンなので、これに牡蠣を加えたジョンが、「クルパジョン」ということになります。
 実際には、お店によって違うとは思いますが、牡蠣だけでなく、イカやエビなども一緒に入っている場合が多いです。このため海産物を使った「ヘムルパジョン(해물파전)」と呼ばれることもあります。「ヘムル(해물)」とは、漢字で「海物」と書き、海産物を表しています。

◎パジョン(파전)
 既に、説明していますが、ネギを使ったジョンです。改めて説明しますが「ネギ」が「パ(파)」です。一般的なジョンが、このパジョンです。
 ネギが甘くて美味しい慶尚南道釜山市の東莱(동래:トンネ)のパジョンが特に有名で、「東莱パジョン(동래파전)」の名は韓国中で広く知られています。東莱には、4代も続く老舗のパジョン専門店があり、今も営業を続けています。トンネの名産品である細ネギと釜山の豊かな海産物を用いたトンネパジョンは、陰暦3月3日の節句(サムジンナル)に、王に献上されていたそうです。





   こんなタレですね。

◎ヘムルパジョン(해물파전)
 「ヘムル(해물)」とは、漢字で「海物」と書き、海産物を表しています。すなわち「海鮮チヂミ」というのが日本では、分かりやすいのではないでしょうか。ネギの他に牡蠣、海老、イカ、ホタテ貝、アサリ、ムール貝、手長ダコなどの魚介類をたっぷり入れたジョンが、ヘムルパジョンです。もちろん、お店によって、入っている種類は異なることでしょう。ただ、新鮮な海産物を使うことが、美味しさの基本だと思います。そのまま食べても美味しいですが、韓国では、粉唐辛子や刻みネギを加えた醤油につけて食べることが多いです。
 ヘムルパジョンは、韓国で古くから家庭で作られる軽食として親しまれてきた料理だそうです。ヘムルパジョンがいつ頃から食べられていたか、定かな記述はありませんが、朝鮮時代後期の文献には、海産物に小麦粉の衣をつけて焼いた「ジョン」がいくつか、記載されているそうです。このような料理が、現在のヘムルパジョンに進化していったようです







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