ナクチポックン


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更新日:
 2011年3月27日


◎ナクチポックン(낙지볶음)
 テナガダコの辛味噌炒め。

 「ナクチ(낙지)」とは「テナガダコ(手長ダコ)」、「ポックン(볶음)」とは「炒める」という意味の韓国語です。したがってナクチポックンとは、テナガダコを炒めた料理です。
 ナクチとは、マダコの一種で日本でいうテナガダコに近いタコの仲間だそうです。ナクチは、普通のタコと違って8本の足のうち2本が非常に長いです。この2本を「手」と呼んでいるのですが、この手がある、手が長い、ということがナクチの特長です。
 日本人からすると、テナガダコということで、「タコ」であると認識するのですが、韓国の人は、ナクチは手が長いために「タコでは無い」と認識しているそうです。そこで韓国の人に「ナクチって何?」と聞くと、必ず「ナクチは、ナクチだよ。」との答えが返ってきます。ここで「ナクチは、タコでしょ?」と聞き返せば「ナクチはタコとは違う!ナクチは、ナクチだよ!」との答えが返ってきます。韓国の人は、昔から、このような認識ですので、決して変わることはないようです。
 ナクチは浜辺や干潟など浅いところに生息しているため、韓国では古くから一般的な食材として利用されていたようです。19世紀に書かれた「閨閤叢書(けいこうそうしょ)」という書物にも記載されており、「ナクチは、別名「小さなパルチョオ(水ダコの別称)」と呼ばれた」と書かれているそうです。
 ナクチは干潟の発達した韓国西南海でよく獲れ、全羅南道(チョルラナムド:전라남도)の木浦(モッポ:목포)が古くからナクチの産地として有名です。このため、木浦市内にはナクチポックンをはじめとした、ナクチ料理の専門店が多数あります。現在では、干潟が少なくなった木捕よりも、その周辺の豊かな干潟の多い地域で獲れたナクチが木浦に集められているようです。
 また、ナクチは韓国では、昔から滋養強壮に良い食べ物として知られています。ナクチは貧血を予防する鉄分を多く含んでおり、肝機能の働きを良くして解毒効果を高めたり、疲労回復や動脈硬化を予防するなどの働きがあるタウリンも豊富に含んでいるそうです。また、リン、ビタミン、たんぱく質なども豊富に含んでおり、体内コレステロールの量を抑える効果があり、さらに嘔吐や下痢、気分が晴れない時にも効果があると言われています。
 ナクチポックンは、このナクチを辛く炒めた料理です。ナクチを大量の唐辛子、玉ねぎ、ネギ、ニンニク、コチュジャン、醤油などと一緒に炒めて、辛く味付けした料理です。食事のおかずとしてはもちろん、お酒を飲むときのつまみとしても食べられています。韓国全土で親しまれている料理であり、また、最も辛い韓国料理のひとつとも言われています。
 ナクチポックンをメインメニューとして出している専門店では、付け合わせにチョゲタン(조개탕:貝のスープ)が出されることが多いそうです。これは、ナクチポックンの辛さを抑える効果があり、美味しくたくさん食べられるようになる上、また、その辛さから胃を守る効果もあるそうです。
 唐辛子の粉で辛くしたナクチポックンが大衆的な人気を得たのは、1961年頃、ソウル市内の武橋洞(ムギョドン:무교동)で食堂を営む女性がナクチを辛く炒める料理を考案したのが始まりだそうです。これが人気を博し、その後、周辺の食堂が同じような料理を出すようになり、武橋洞とナクチポックンが有名になっていったそうです。
 しかし、1990年代に武橋洞地区の再開発が始まり、ビルが建ち並び始めるようになりました。このため、武橋洞にあったナクチポックンの店は、隣の清進洞(청진동:チョンジンドン)に続々と移転していったそうです。
 武橋洞では、激辛に仕上げられたナクチポックンを出すことで知られているため、武橋洞式のナクチポックンは「武橋洞ナクチ」と呼ばれています。ブランドになっているため、武橋洞以外の場所でナクチポックンのお店を出す場合にも、「武橋洞」の看板を掲げて営業するお店も多いようです。
 一方、釜山でもナクチポックンは名物料理の1つですが、食べ方やスタイルがソウルのナクチポックンとは少し、違います。釜山のナクチポックンは、牛骨や煮干しで出汁をとったスープにナクチとタマネギ、ネギ、キャベツなどの野菜、タンミョンと呼ばれる春雨、海老などを入れ、コチュジャン、コチュカル、ニンニクなどで味付けをして煮込んで作る鍋料理です。
 釜山式のナクチポックンは、沢山のスープで作るため、辛さも軽減されていて、日本人にも食べやすく、観光客に人気だそうです。釜山式のナクチポックンには、好みに応じて、好きな具材を入れて食べることができます。例えば、うどん、ラーメン、ジャガイモなどです。また、韓国式の鍋料理ですから、最後は残った汁に御飯を入れて、炒めて「ポックンパッ(炒飯)」にして食べるのが定番です。






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