ネンミョン


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更新日:
 2009年1月15日


◎ネンミョン(冷麺:냉면)
 冷麺です。

 そば粉、緑豆粉などを用いた冷たい麺料理です。漢字では冷麺と書き、日本でも有名な料理の一つです。もともとは朝鮮半島北部の代表的料理です。冷麺は蕎麦粉を主原料として、つなぎとしてデンプンや小麦粉を入れて練り上げて作ります。冷麺は粘り気の少ない材料で作るため、押し出し式で作られるのが特徴です。この麺を、主に牛骨で出汁を取ったスープと、大根の水キムチ(トンチミ)の汁を合わせたスープで食べるのが冷麺です。店によっては、冷たいだけのスープだけでなく、スープに氷を入れたり、シャーベット状にしていたり工夫をしているようです。また、最近は、食べやすくするために麺をハサミで切ることが多いようですが、北朝鮮では行わないようです。
 冷麺の記述が文献に現れるのは1849年に書かれた『東国歳時記』が最初のようです。それ以前からも料理としては存在していたようですが、発祥がいつ頃なのかは明確になっていません。『東国歳時記』には「ソバ麺を大根キムチや白菜キムチと混ぜ、豚肉を乗せたものを冷麺と言う」と書かれています。また、ピビンネンミョンについての記述もあり、「野菜、梨、栗、薄切りにした牛肉、豚肉を、油や醤油とともにソバ麺に乗せたものを骨董麺と呼ぶ」と記載されています。「骨董」とは、「混ぜ合わせる」という意味で、朝鮮時代には「ピビンパッ」のことを「骨董飯」と呼んでいたそうです。冷麺は『東国歳時記』の11月の項に記述されており、もともとは冬の季節料理であったようです。また、1800年代末に書かれた『是議全書』にも冷麺と骨董麺についての記述があるそうです。寒い冬、夕食に暖かいオンドルの部屋に集まって、冷たいトンチミ(동치미:大根の水キムチ)に麺を入れて食べたのが、冷麺の始まりと言われています。
 この冷麺は、現在の北朝鮮に位置する平壌(ピョンヤン:평양)が有名で、ムルレンミョン(물냉면:水冷麺)と呼ばれています。ムルレンミョンは、辛くない冷麺で、好みによってスープに酢やカラシを入れて食べます。
 一方、辛い冷麺もあり、こちらも同じく現在の北朝鮮に位置する咸興(ハムフン:함흥)が有名です。咸興式は「ビビンネンミョン(비빔냉면:辛口混ぜ冷麺)」と呼ばれ、スープがない辛い冷麺です。こちらの麺の主成分はジャガイモやサツマイモのデンプン質で、水冷麺とは食感が異なります。これにコチュジャン、酢、ゴマ油などを合わせたピリ辛のタレをかけ、さらに茹でた肉、茹で卵、キュウリなどのトッピングをして出されます。これらをトコトン、混ぜ混ぜして、いただくのがビビンネンミョンです。
 「ビビンネンミョン」の「ビビン」は、「ピビダ(混ぜる)」の意味で、「ピビンパッ」と同じです。ですから、徹底的に混ぜ合わせて、麺もタレも具もグチャグチャになってから食べるのが正しい食べ方です。
 冷麺の専門店では、麺だけをお代りすることができます。日本のラーメンの替え玉と同じシステムです。麺が美味しいお店では、麺を追加して食べることが多いです。また、冷麺の専門店では、食事の時にお茶のような色をした飲み物が出されます。これは、「ユクス(육수:肉水)」という牛骨を煮込んだスープです。このスープも非常に美味しいく、また、冷麺に良く合います。辛い刺身冷麺やビビン冷麺を食べる時には、辛さを和らげてくれる効果もあります。
 冷麺は焼き肉屋さんでも出されます。一般的に韓国では焼き肉を食べた後、食事として冷麺を食べることが多いです。この時、冷麺の他には、テンジャンチゲや、ヌルンジを頼む人が多いです。
 最近は冷麺の種類も多様化してきて、葛粉を材料にして作った葛冷麺(칡냉면:チッネンミョン)、麺に緑茶を練りこんだ緑茶冷麺(녹차냉면:ノクチャネンミョン)、ドングリの粉を用いたドングリ冷麺(도토리냉면:ドトリネンミョン)などもあります。

・平壌冷麺(평양냉면:ピョンヤンネンミョン)
 平壌冷麺とは、もともとコクのあるさっぱりとした冷たいスープで食べる水冷麺です。ダシは牛肉や雉肉で取るのが基本ですが、現在は灰汁抜きした牛の脚の骨を使うことが多いようです。お店によってはトンチミと呼ばれる水キムチの一種を入れてスープを作るところもあります。
 麺は、そば粉や緑豆粉が主体で、かさかさして粘りがなく、よく切れます。具の種類は多くなく、卵、薄く切った牛肉、大根キムチというパターンがほとんどです。食べる時には、好みに応じてお酢や辛子などを加えます。
 もともと、真冬に、オンドルの部屋の中で、暖かくしながら食べる「以寒治寒」の食べ物だったそうです。



          水冷麺



         麺のお代り



  水冷麺ですが、スープが赤くて辛いタイプです

・咸興冷麺(함흥냉면:ハムフンネンミョン)
 咸興冷麺はフェネンミョン(刺身冷麺)が有名です。水冷麺のような冷たいスープに入った麺ではなく、麺の上にコチュジャンベースの辛いソース(ヤンニョン(양념:薬味))と和えたガンギエイの刺身をのせ、その辛いソースと麺を良く混ぜて食べるピビンネンミョン(混ぜ冷麺)です。ピビンネンミョンの「ピビン」は、「混ぜる」の意味です。刺身がのせられた冷麺は、フェネンミョン(회냉면:刺身冷麺)とも呼ばれます。
 麺はジャガイモやサツマイモのでん粉を使ったもので、水冷麺と比べて、コシと弾力が強く、ゴムのようです。この麺をヤンニョンと良く混ぜてからいただきます。
 もともと、咸興式ビビン冷麺は、暑い時に食べる夏の食べ物だったそうです。



         ピビン冷麺

・泗川冷麺(사천냉면:サチョンネンミョン)(水冷麺)
 慶尚南道の泗川市の冷麺です。水冷麺の上に薄い衣を付けて揚げた肉が具として乗っているのが特徴です。また、スープには味がついていません。麺もコンニャクのようで、全く味がありません。揚げた肉だけを食べても、それほど美味しくありません。初めて食べると、「何だ、これは?」と思ってしまいます。実際、ソウルの人に食べさせたら、「こんなものは冷麺ではない!」と怒ってしまいました。しかし、この味がない麺を食べた後、この肉を食べると、肉の甘味が非常に美味しく感じられます。スープはどうしようもありませんが、麺と具を一緒に食べると味が生まれるという不思議な冷麺です。



          泗川冷麺 

・泗川ピビン冷麺(사천비빔냉면:サチョンピビンネンミョン)
 慶尚南道の泗川市の冷麺です。こちらも水冷麺と同じく、薄い衣を付けて揚げた肉が具として入っているのが特徴です。その他にもキュウリや、ナシ、大根など、具だくさんな冷麺です。
 水冷麺のスープは味がありませんが、ピビン冷麺のソースは、しっかりとした味がついていて、結構、辛口です。麺は、コンニャクのように弾力がありますが、水冷麺を食べた時には気がつかなかった独特の味を確認できました。



          泗川ピビン冷麺 

・葛冷麺(칡냉면:チッネンミョン)
 チッネンミョンとは、葛(チッ:칡)のネンミョン(冷麺)です。すなわち、葛入りの冷麺のことです。普通の冷麺の麺は半透明、あるいは寒天色ですが、このチッネンミョンは土茶色です。葛が練りこまれていて、普通の冷麺と比べると噛み切りやすく、すっきりとしたほのかな香りがします。このチッネンミョンは普通の冷麺専門店にはなく、チッネンミョンの専門店に行かないと味わえない料理です。

・緑茶冷麺(녹차냉면:ノクチャネンミョン)
 韓国では、数年前から緑茶ブームがあり、麺に緑茶の粉を混ぜた緑茶冷麺もあります。麺は綺麗な緑色です。味は、緑茶の風味がする程度で、あまり気になりません。スープやトッピングは普通の水冷麺とほぼ同じです。これは、軽食堂などでたまに見かけるメニューです。

・ドングリ冷麺(도토리냉면:ドトリネンミョン)
 麺にドングリ(ドトリ)の粉を練りこんだ冷麺です。ドングリは高い栄養価を持っていて、抽出されるアコニック酸は体内に蓄積された有害物質(重金属)の浄化などに効果があるそうです。健康ブームで作られた冷麺です。






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