ハモ料理


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更新日:
 2012年6月30日


◎韓国でハモ料理(2012年6月19日)
 ハモは、日本では高級な魚として有名ではないでしょうか。ハモ(鱧)とは、ウナギ目ハモ科に分類される魚の一種で、ウナギやアナゴと同じように胴体が長い魚です。ハモには長くて硬い小骨が非常に多く、食べるためには「骨切り」という下処理が必要です。これは、腹側から開いたハモの身に、皮を切らないように細かい切りこみを入れて小骨を切断する技法です。下手にこれをやると身が細かく潰れてミンチ状になってしまい、味、食感ともに落ちてしまうため、熟練が必要とされています。日本では「一寸(約3cm)につき26筋」包丁の刃を入れられるようになれば一人前といわれているようです。
 骨切りを施したハモを熱湯に通すと、反り返って白い花のように開きます。これを、「湯引きハモ」または、「牡丹ハモ」といい、ここに梅肉やからし酢味噌を添えて食べるほか、吸い物、土瓶蒸し、鱧寿司、天ぷら、鱧の蒲焼や唐揚げなど、様々な料理に用いられています。
 京都では非常に珍重されており、夏の味覚の代名詞のようになっているようです。何故、京都でハモを食べる文化が発達したかについては、ハモが生命力の非常に強い数少ない魚であるため、輸送技術が発達していなかった時代でも、大阪湾や明石海峡で採れたハモを、夏に内陸の京都まで生きたまま輸送できたからだといわれています。昔の京都の人々にとっては、貴重な新鮮な魚だったのでしょう。
 ハモは、夏の高級食材ですが、最近ではスーパーマーケットの鮮魚売り場などでも、売られるようになってきているようです。ただ、関東地方では、あまり一般的ではなく、消費量も少ないようです。私も、知識としては知っていますが、今まで、食べた記憶にありませんでした。ハモ料理を出すようなお店は高くて行けませんし、わざわざ、スーパーで買って食べたいとも思わなかったからです。
 そんなハモですが、実は、現在の韓国でも食べられているということを知りました。しかも、値段は、日本に比べれば、はるかに安い金額で食べることができるのだそうです。そこで、早速、韓国で初のハモ料理を食べに行ってみました。
 韓国では、ウナギもアナゴもハモも、みんなまとめて「チャンオ(長魚:장어)」と呼ばれています。漢字から分かる通り、「チャンオ」とは「体が長い魚」の総称のようです。通常、単に「チャンオ」と言えば「鰻」を意味しています。しかし、これらを全て区別する場合は、「ウナギ」のことは「ミンムルチャンオ:민물장어(淡水のチャンオ)」、アナゴは「パダチャンオ:바닷장어(海のチャンオ)」、ハモは「ケッチャンオ:갯장어(浜辺のチャンオ)」と言います。
 ハモは、日本でも夏の風物詩ですが、韓国でも全く同じです。夏の時期しか食べられないそうです。またハモが有名な地域は、全羅南道の麗水市(ヨス市、여수시)や高興郡(コフン群、고흥군)のあたりだそうです。
 早速、ハモが始まった6月に麗水市に行ってみました。高級料理屋さんではなく、普通の定食屋さんみたいなお店でもハモ料理をやっているそうです。店に入ってみて、店内の壁に手書きで書かれたメニューを見て、びっくりしました。韓国語でしたが、「ハモ」と書いてあるのです。また、食べ方として、「サシミ」と「ユビキ」と書いてありました。これは、当然、「刺身」と「湯引き」の意味に違いありません。
 湯引きは、どこかで食べたことがあるような気がしたので、今までに一度も食べたことがない「ハモの刺身」を頼んでみました。金額は、1人前で15,000Won(約1,300円)くらいだったと思います。少なくとも、日本では、こんな金額で食べることはできないと思います。感動に浸りながらも、何で韓国なのに「ハモ」、「サシミ」、「ユビキ」と書かれていたのか気になりました。
 どうやら韓国では、もともとハモは、食用にしていなかったそうです。蛇のような外見で、しかも獰猛、釣ったとしても釣り人に噛みつくなど、手を焼く魚で、食べる対象としていなかったようです。それが、日本が統治していた時代、日本での需要があることから、韓国産のハモを日本に輸出していたそうです。
 韓国でハモを食べることが人気になったのは1990年代中盤だそうです。日本では、ハモが高級品であることに加え、日本から、スタミナが付くとか、美容に良いなどという情報が入ってきて、韓国の人達も食べるようになっていったようです。これだけ、新しい食材であれば、日本人が食べる方法を真似して、同じように「ハモ」、「刺身」、「湯引き」と呼んだ方が簡単です。つまり、ハモに関する用語は、日本語をそのまま外来語として使ったのですね。
 さて、待ちに待ったハモの刺身ですが、出てきた料理を見てびっくりでした。もっと美しい盛り付けを期待していたのですが、ここは韓国でした。大皿いっぱいにドサッと乗った刺身です。切り方も適当なブツ切りです。これだけ、豪快に切ってしまえば、骨も気にならないだろう、という考えでしょうか。さすが韓国式です。
 また、日本では、ハモが淡白な味なので酢味噌、梅肉やポン酢で食べることが多いようですが、ここは韓国です。そんなものはありません。当然のごとく、チョコチュジャン(酢コチュジャン、초고추장)です。韓国でも刺身を食べますが、わさびに醤油というのは、最近の鮪屋さんくらいで、それ以外は、全て、「チョコチュジャン」なのです。食べてみると、確かにチョコチュジャンも悪くありません。ただ、結構、骨があって食べづらかったです。これは、入った店の問題でしょう。
 ちょっと期待とは違いましたが、初のハモの刺身、結論は、「美味しかった~」です。ただ、量が多くて、途中で飽きてきてしまいました。量も含めて、「安い!」というのが韓国のハモ料理ですね。次回は是非、湯引きを食べたいと思います!




ハモの刺身(갯장어회)(写真は、2人分です。)


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