ナムル


   メニュー 

海外事情 

中国 

台湾 

韓国 

 韓国体験記 

 韓国の地理 

 韓国の料理 

 韓国の御土産 

 韓国のニュース 

インド 

シンガポール 

タイ 

リンク 

雑学の宝庫 

更新日:
 2008年8月10日


◎ナムル(나물)
 食用の草、葉、根っこ、野菜などを茹でて、和えた料理。

 辞書でナムルという単語をひくと、“食用の草、葉、根っこ、野菜などの総称、または、それを和えたおかず”と書かれています。また、ナムルは漢字で「熱菜」と書き、この字が示す通り、普通はナムルに使う野菜類は茹でたり炒めたり、加熱してから和えられます。つまり、ナムルとは、“茹でて、和えておかずにする材料自体”と、“その材料で作ったおかずの全て”を意味しています。
 ナムルの材料は、それぞれの素材に合わせて、塩もみ、ゆでる、炒める、蒸すなどの下ごしらえをします。御飯を主食とする韓国で、ナムルは毎日の食卓に欠かせない料理の一つです。春になると、山や野原で手軽にナムルを採り、和えたものを食卓で楽しみます。日差しの温かい秋の日には、冬に備えて庭でナムルを干したりもします。かつてはナムルが、新鮮な野菜の少ない冬の間の大切なビタミン供給源になっていました。干したナムルをゆでたり、軽く炒めたりして、寒い季節でも野菜をたっぷり楽しむのです。
 普段はおかずとして、1~2品が食卓に並ぶナムルですが、お正月や、おめでたい日に欠かせない行事食のナムルもあります。1年の豊作を感謝する日や、満月に願いごとをする秋夕(チュソク=陰暦8月15日)、お正月(陰暦1月1日)にも、ナムルは欠かせない料理になっています。
 おめでたい時のナムルには、三色ナムルがあります。ゴサリ(わらび)、トラジ(ききょうの根)、ほうれん草の、茶、白、緑の3色を取り合わせたものです。干したゴサリはサッとゆでて水で戻し、茎を取り除いて細く裂いて塩もみをし、苦味を取ります。味がよく滲み込むように調味料で和えた後、ゴマ油をかけて炒めます。ほうれん草は塩水で茹でて4cmくらいの長さに切り、ネギ、にんにくなどと一緒に調味料で和えます。トラジは塩、ねぎ、にんにくを入れて軽く炒め、水を少し加えて火が通るまで蓋をして蒸らします。こうして作った三色ナムルを一皿に盛り、ゴマ塩を振って仕上げるのです。
 ナムルが欠かせない日が、もう1日あります。新年が明けて初めての満月の日(陰暦1月15日)である「上元(サンウォン)の日」です。この日は、韓国では豊作を祈願する日で、この日に食べるナムルは「ポルムナムル」といい、これを食べれば夏バテをしないといわれています。ポルムナムルは秋に干しておいたホバク(韓国かぼちゃ)やナス、大根の葉、チュイナムル(シラヤマギク)、トラジなどのナムルを盛り合わせたものです。この日は米、麦、豆、アワ、キビなどの五つの穀物で五穀飯(オゴパプ)を炊き、9種類または12種類を取り合わせたポルムナムルを一緒に食べます。

 様々な香りと味を持つナムルですが、以下のようなものがあります。

・ゴサリ(고사리:ワラビ(蕨))
 山野の陽あたりの良い草地に生えるワラビ科に属する多年生植物です。春に出てくる新芽は、先端が巻かれていて柄が太く、長いです。通常は、葉が伸びきらないものを採って利用します。
 熱湯で茹でて、充分にあく出しをしないと有毒で、失明、流産、神経痛などの結果をもたらすことが昔から知られていました。一方、有用成分としては、デンプン質と食物繊維が挙げられます。デンプンはエネルギー源になりますが、食物繊維は胃腸の働きを活発にして、消化を助ける効果があります。ビタミン類はほとんどなく、カルシウム、鉄分などの無機質を多く含んでいます。
 生のワラビにはチナミナーゼというビタミンB1を分解する酵素が含まれています。このため、生のワラビを食べると、ビタミンB1不足症にかかり、足がだるくなり、神経痛の症状が出てきます。いわゆる脚気です。このことからも、ワラビは必ず茹でてから食べなくてはなりません。通常は、必ず熱湯で長時間、茹で、さらによく乾燥させたものを、戻して使います。
 ちなみに、ビタミンB1不足は、ニンニクを食べると補われるますので、ワラビや、ゼンマイの料理を食べる時には、ニンニクを一緒に食べれば問題ありません。

・ゴトゥルペギ(고들빼기:イヌヤフシソウ)
 シンナムルともいい、山や野原、畑の周辺に生えるたんぽぽの仲間です。北朝鮮ではチョムドゥメゴドゥルペギ、チョムゴドゥルペギなどと呼ばれています。漢方では薬師草と言います。
 韓国では、全国の野原や畑で自生する二年草であり、高さは人の膝ほどになります。茎から出た葉は下の方が茎を包み、上に行くほど葉の大きさが小さくなります。花は頭状花であり、黄色で、先端に多くの花が咲きます。
 春から夏の終わりまで花が咲き、実は平らな円錐形で黒色です。夏の終わり頃に実がつきますが、それが地に落ちると、すぐに根を張り、芽が出てきます。冬には、その軟らかい芽を根こそぎ採り、根から葉までが食材としてすべて利用されます。ほろ苦い風味を生かしてキムチにしたり、ナムルにして食べます。
 人の手から逃れたものは冬を越し、翌年の春にさらに成長を続けます。成長したものの根は枝のようになり、茎も葉も固くて食べられなくなります。現在では、農家で栽培されたものもあります。

・シグムチ(시금치:ホウレン草)
 ホウレンソウを韓国語で“シグムチ”と言いますが、“シグム”とは「苦味のある」との意味で、“チ”は“菜(チェ)”が変化したものです。
 緑黄色野菜のホウレン草は、ビタミンA、B1、B2、C、ナイアシンなどの栄養素を多量に含んでいます。また、無機質のカルシウム、鉄分、沃素(ようそ)なども多く、発育期の幼児、妊婦の食事にも適しています。
 韓国では、昔からシグムチが強壮、補血に効果のある野菜とされていました。漢方では、胃腸の熱を下げ、アルコールの分解を良くし、カサカサ肌にツヤを取り戻す効果があるといわれています。また便秘にも効果的だそうです。サッと茹でて、味噌やコチュジャンで和えたり、醤油味のナムルにも利用します。

・スク(쑥:ヨモギ(蓬))
 ヨモギは中央アジアから東アジアにかけて自生し、多くの国々で食用にされています。また、強い薬効があることでも知られており、古くから漢方の書物に様々な処方が記載されています。
 ヨモギは、鉄分やカルシウムを豊富に含んでいます。ビタミンAは同じ量のレバーより多く、ヨモギを80g摂取すれば、1日に必要な量を摂ることができます。また、ビタミンCはイチゴやみかんよりも多く、風邪の予防や治療にも役立ちます。
 ヨモギは、昔から食用や薬用に広く利用されてきました。血液をサラサラにし、抗菌、解熱の働きがあり、全ての体質の人に合う食品と言われ、おかずやお餅、お茶などにするだけでなく、入浴剤にも使われています。

・スンバギ(씀바귀:ニガナ(苦菜))
 ニガナ(苦菜)は、キク科ニガナ属の多年草です。中国、韓国、日本に分布し、山地や野原にごく普通に生えています。名の由来は、茎や葉に含まれる乳液が苦い事によります。英名は、Korean lettuceです。
 茎の断面は、四角形状。茎に付く葉は 4~5cmの長楕円形で、柄はなく基部で茎を抱きます。総苞片は細い円筒形で、総苞外片は短い鱗片状です。花茎を分散させ、頭花を集散状に付けます。花弁に見えるのは、小花である黄色の舌状花です。それが集まった径15mm程の集合花で、舌状花は通常5個あります。先端に4つ程の切れ込みがあります。
 おかずにする時は、根をきれいに洗ってから茹で、一晩水につけて苦味を除いてから、食します。独特の苦みがあり、ビタミンAやC、カルシウム、カリウムなどを豊富に含んでいます。

・ダレ(달래:ヒメニラ(姫韮))
 ダレ(ダルレ)は、小ネギのように細くて、根元がプクッと膨らんでいて、ニンニクに似た匂いがします。
 ダレは、少し苦味があるので、食欲増進効果があります。独特な香味があり、ビタミンCが豊富ですが、熱に弱いので、生で食べるのがお勧めです。特に美肌や貧血防止、肝機能強化などの効果があると言われています。コチュカル(唐辛子粉)を振りかけて、醤油ベースのタレで和えるととても美味しくなります。また、酢を加えればビタミンCの破壊を減らすことができます。ダレの辛味が強すぎるときは、酢水にしばらくつけておくとやわらぎます。

・ドドク(더덕:ツルニンジン(蔓人参))
 沙蔘(사삼:ササム)とも呼ばれる蔓人参は、キキョウ科に属し、森に自生しています。姿が高麗人参と似ており、高麗人参の主要成分であるサポニンも入っているので付けられた名前だそうです。
 ツルニンジンは、春には若葉を、秋には根を食用とします。生薬の沙蔘は、根を乾燥させたもので、漢方では治熱(病のもとになっている熱を下げること)、祛痰(痰を除去すること)、肺の熱の除去、健胃剤として用いられています。根が白くて太いものが上等とされています。

・トラジ(도라지:キキョウの根)
 キキョウ(桔梗)は、キキョウ科キキョウ属の多年草です。根には太い根茎があり、黄白色で長い紡錘形をしています。これを乾燥させたものが生薬の桔梗根で、消炎排膿薬、鎮咳去痰薬として使用されています。
 草丈は50~100cmになります。茎は枝分かれする事があり、断面は円形で、折ると白乳液がでます。葉は互生します。長さ4~7cmの狭卵形で先が尖り、葉の裏側は粉白色を帯びます。茎の先に花冠径3~5cmの花を付けます。花冠は風船状に膨らんだ後に開花します。合弁花で、先端が5裂した広鐘形です。稀に4裂するものもあります。花は青紫色です。稀に淡紫色や白色があります。白色種は根を食用に用いるため、韓国で多く栽培されています。
 トラジの苦味の素であるサポニンは、気管支の炎症を鎮めタンを抑える働きがあります。生のトラジは皮をむいて塩水でもみ洗いして苦味を取り、料理に使います。春と秋に採取したものを、そのまま和えものにしたり、炒めてナムルにします。皮をむいて乾燥させたトラジは、水で戻してからナムルなどに利用します。

・ドルナムル(돌나물:ツルマンネングサ(蔓万年草))
 ドンナムルとも言われるツルマンネングサは、どこでもよく育つ山菜のひとつです。ツルマンネングサは、茎が地を這って伸びるのでこの名があります。韓国では、春先のやわらかい水気たっぷりな葉を水キムチやナムルにして食べます。苦味と歯ごたえがあり、生でも食べられます。
 カルシウムが多く含まれる山野草です。食欲をおぎない、血液を清め、殺菌、消炎作用に優れているため、急性気管支炎などの炎症を抑える働きがあります。また、のど荒れ、慢性肝炎にも良いと言われています。熱があり尿がでない場合の利尿薬としても民間療法で使われているそうです。

・ミナリ(미나리:セリ(芹))
 春と秋に旬を迎えるミナリ(セリ)は、野生のドル・ミナリ(野セリ)と畑で栽培されるムル・ミナリの2つに分けられます。独特の強い香りとシャキシャキとした歯ざわりが特徴で、早春の香りを感じさてくれる野菜です。
 セリはカロテン、カリウム、ミネラルなどが豊富な緑黄野菜です。 造血作用のある葉酸や鉄分も含み、貧血予防に効果的です。独特の香りはミスティシン、カンフェンなどの精油成分で、胃を丈夫にし、解熱、解毒作用や発汗作用もあり、美肌作りや冷え性にも効果があるそうです。

・ミンドゥルレ(민들레:タンポポ(蒲公英))
 タンポポとは、キク科タンポポ属の多年草の総称です。日当たりの良い草地に生えます。葉はロゼット状に叢生し、倒披針形で切れ込みがあります。春、中空の花茎を出し、舌状花のみから成る黄色または白色の頭花をつけます。柄のある白色の冠毛がついた小さい実が、風に乗って飛び散ります。
 トウが立つ前の若い葉を摘み、食用にします。大きく育ちすぎたり、花が咲いてしまうと、葉が硬くなり、えぐみが強くなってしまいます。タンポポの若い葉をサッと茹でてナムルにします。
 タンポポは健胃作用、利尿作用、解熱作用など優れた薬効があります。近年では、高血圧や糖尿病を予防したり、抗ガン効果もあることが実証され、タンポポコーヒーやタンポポ茶などの健康飲料が注目されています。

・モウィ(머위:フキ(蕗))
 フキはキク科フキ属の多年生植物です。フキは細長い地下茎をのばし、節ごとに大きな葉を4~5枚つけます。日本では、長く伸びた茎の部分を料理に使うことが多いようですが、朝鮮半島では育ちすぎないうちに葉と茎の両方を使うことが多いようです。
 フキは、カルシウムを多く含み、ビタミン、鉄分が豊富なアルカリ性食品です。栄養というよりは、香りを楽しむ素材のひとつのようです。柔らかくてみずみずしい味わいで、よく利用されています。葉はナムルにすると食欲をそそり、茎は皮をむいて茹でたものを鍋などにします。
 朝鮮半島では、フキは肺に作用して咳や痰を止めるほか、食欲をわかせ、胃を丈夫にし、むくみをとり、沈静作用や強壮作用にも優れる食品として、古くからよく食べられてきたそうです。もともと山野の自生植物として身近な存在でしたが、近年では、高血圧や動脈硬化などの成人病を予防する食品として見直されているそうです。
 フキノトウは、春の季節感を演出する野菜として日本料理には欠くことの出来ない素材の一つになっていますが、植物学的にはフキの冬期花雷(フキのつぼみ)で、大きな鱗状の苞(ほう)に包まれたものです。つまり、「フキ」と呼ばれているものは「フキの葉および葉柄」で、「フキノトウ」と呼ばれているものは「フキの花雷」です。
























































































 






inserted by FC2 system