ピビンパッ


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更新日:
 2008年8月10日


◎ピビンパッ、ピビンパップ、ビビンパッ、ビビンパップ(비빔밥)
 ナムルなどをご飯に乗せ、混ぜて食べる料理。

 “ピビンパッ”とは“ピビダ(混ぜる)”と“パッ(ご飯)”を合わせた言葉で、“混ぜご飯”の意味です。本来は、残りご飯にナムルやコチュジャン、ゴマ油などを混ぜ、ちょっと小腹が空いたときに食べる手軽な料理のことでした。
 日本語では「ビビンパッ」、「ビビンパップ」などと表記されることが多いようですが、「ピビムパッ」や「ピビムパプ」などが韓国語の読みに近いようです。ここでは、ピビンパッと表記することにします。
 ごはんを器に盛り、上に各種の具材を盛り付け、コチュジャンをベースにした薬味ダレをかけて、全体を良くかき混ぜて食べます。上に乗る具材は店によって異なり、牛肉を例にあげても、細切り肉や、ひき肉、またユッケを用いる場合など様々です。ナムルについても、ワラビ、ゼンマイ、モヤシ、ホウレンソウ、セリ、キキョウの根など、多彩な野菜が用いられます。その他、卵、シイタケなどのキノコ類、緑豆の粉をゼリー状に固めたチョンポムク、海草や魚介類など、基本的な材料だけでも非常に多くの種類があります。
 石の器で調理したトルソッピビンパッ(石焼きピビンパッ)、真鍮の器に盛り付けた全州(チョンジュ)ピビンパッは、全羅北道全州の郷土料理として有名です。料理としてのバリエーションは豊富で、生肉を乗せたユッケピビンパッ、春にとれた山菜を用いて作ったポムナムルピビンパッ(ポムは春の意)や、ヨルムキムチ(大根の葉を用いたキムチ)を使用したヨルムピビンパッ、生のテナガダコをぶつ切りにして入れたナクチピビンパッなどがあります。
 ピビンパッの基本は混ぜることです。いくらキレイに盛られていても、混ぜて食べないとピビンパッの本来の美味しさを味わえません。ご飯とナムル、コチュジャン(唐辛子味噌)をまんべんなく混ぜてから食べるのが韓国式です。日本人から見ると、「十分、混ぜた」と思っても、韓国の人から見ると、「全然、混ぜてない」と言われることがあります。全ての御飯粒が白くなくなるまで、「これでもか!」ってくらい徹底的に混ぜましょう。
 文献上は19世紀後半に書かれた『是議全書』に汨董飯(プビムパッ)として出てくるのが初めてだと言われています。ただし料理そのものは、それ以前からあったとみられ、さまざまな由来が考えられています。代表的なものは以下の4種類です。

1. 大晦日の食事に由来
 大晦日に旧年中の食べ物を新年に残さないため、残った食べ物をすべて片付ける目的で、御飯の上に乗せて食べたのが始まり、とする説です。日本の大晦日には多くの家庭でそばが食べられますが、韓国ではピビンパッが食べられます。新年は、新たな気持ちでトックク(떡국:うるち米で作った餅を入れた雑煮)を食べます。

2. 宮廷料理に由来
 宮廷で王に突然の来客があった際、もてなしの料理を作る時間がなくて困った時、やむなくナムルなどの残り物を御飯の上に体裁よく盛りつけて出したところ、これが好評を得た、とする説です。

3. 畑仕事の昼食に由来
 昔、農作業が行われていた頃、農民たちは毎日、1日中、田や畑に出かけて作業をしていました。この時、弁当として持っていった御飯とおかずを別々にすると荷物が多くなって不便だったため、1つの器に入れていったそうです。この時のおかずであるナムルと御飯を混ぜて食べていたことが、ピビンパッの始まりとする説です。

4. 祖先祭祀後の食事に由来
 祖先祭祀の時、作った御馳走を祭祀後に集まった親戚と分けあって食べる風習があります。これは、先祖や神が手をあて、匂いをかいだ福の移った料理を食べ、その福に授かろうという呪術的意味の強い儀礼で、ウンボッ(飲福:음복)というそうです。
 その際に、家から離れたところでとり行われる行事に沢山の食器や料理を持って行くのは大変であるため、一つの器に様々なものを混ぜ入れたものを持って行って食べたのだといわれています。この料理はホッチェサパプ(虚祭祀飯:헛제사밥)という名前で、今でも安東地方に残っています。

 ピビンパッは全国的に食べられている料理で、地方ごとに特色のあるピビンパッが存在します。その中でも、全州(チョンジュ)、晋州(チンジュ)、安東(アンドン)の3地域のピビンパッは、韓国三大ピビンパッと呼ばれています。
 朝鮮時代には安東ではなく海州(ヘジュ)が3地域の一つとされていましたが、海州は北朝鮮にあるため、現在では海州の代わりに安東が3大ピビンパッに入っています。海州ピビンパッは、御飯を油で炒め、鶏肉を具にしたものらしいのですが、現在の韓国では食べられないため、幻のピビンパッと言われています。

 代表的なピビンパッには以下のものがあります。

・コンナムルピビンパッ(콩나물비빔밥)
 韓国で肝臓に良いとされている豆もやしのピビンパッです。「豆もやし」とは、大豆を原料としたもやしのことです。
 コンナムルには、肝臓でアルコールを分解する酵素を作るのを助ける働きがあるそうです。また、ビタミンCが豊富に含まれているため、お酒を飲んで消費されたビタミンCの補給と、寝不足で荒れた肌にもとても良いのだそうです。



・全州ピビンパッ(전주비빔밥:チョンジュピビンパッ)
 全羅南道全州市の郷土料理です。宮中でも食べられていたことから、宮中(クンジュン)ピビンパッとも呼ばれます。熱した真鍮の器(ノックルッ)に盛り込んで出されます。具に全州市の特産品である大豆モヤシと、クチナシの花で色をつけたファンポムク(緑豆のでんぷんを固めたもの)が入っているのが特徴です。
 全州ピビンパッは、肉からとったダシ汁で御飯を炊き、炊き上がった御飯を蒸す時にモヤシを入れ、石鍋の中でしっかり混ぜ合わせます。ここに醤油やコチュジャン(とうがらしみそ)、胡麻油などを入れ、その一番上にユッケ(生牛肉)をのせます。春の初めにはチョンポムッ(緑豆で作ったこんにゃくのようなもの)を、初夏にはヨモギを、晩秋にはトウガラシの葉やエゴマの葉などをのせ、季節の味を楽しみます。一緒に、大豆モヤシのスープが出されます。



全州伝統ピビンパッです。この店は、御飯は別でした。



自分で、御飯を入れます。



よ~く混ぜ混ぜして、完成です。

 

・晋州ピビンパッ(진주비빔밥:チンジュピビンパッ)
 慶尚南道晋州市の郷土料理です。メインの具にユッケ(牛肉の刺身)を使ったピビンパッで、彩り鮮やかなナムルの上に赤い牛肉が花のように美しく盛りつけることからファバン(화반:花飯)とも呼ばれています。もちろんユッケピビンパッとも呼ばれています。
 ユッケピビンパッの美味しさのポイントは、やはりユッケにつきます。上質な韓牛の赤身肉(もも肉)を細切りにし、香り豊かなゴマ油を丁寧に肉にもみ込みます。最近では、砂糖、醤油などを加えて味つけされることもありますが、牛肉本来の旨味を引き立たせるには、ゴマ油だけで味つけするのが良いとされています。
 普通のピビンパッは、御飯の上に沢山の具を載せますが、ユッケピビンパッの場合は、主役である牛肉の味を楽しむために、具を多く載せないのが特徴です。さらにユッケの食感を損なわないために、ピビンパッに良く使われる豆モヤシではなく、細くて柔らかい緑豆モヤシが使われることが多いです。
 また、ピビンパッを食べる時、一緒にスープが出されますが、通常のピビンパッではコンナムルクッ(豆モヤシのスープ)が出されることが多いです。しかし、ユッケピビンパッの場合にはソンジクッ(牛の血のスープ)を添えるのが定番とされています。

・トルソッピビンパッ(돌솥비빔밥:石焼ピビンパッ)
 全羅南道全州市の郷土料理です。トルソッと呼ばれる1人用の石の釡で調理するのが特徴です。石焼ピビンパッが登場したのは 1970年代に入ってからのことだそうです。もともと家にある余り物で作るものだったピビンパッは、ステンレスやプラスチックの器で作られていました。それを、「チゲ同様に火にかけて最後までアツアツで食べられるピビンパッが欲しい!」との要求で、トルソッピビンパッが生まれたのだそうです。
 ジリジリ焼けたアツアツの石鍋に盛られた御飯とナムル、肉などと、コチュジャンがまんべんなく混ざるまで、かき混ぜて食べます。パリパリの食感のご飯もまた、魅力です。保温性に富んでいるので、最後まで温かいまま食べられます。



・ナクチピビンパッ(낙지비빔밥)
 全羅南道木浦市の郷土料理です。ナクチとは、テナガダコのことです。このナクチの有名な料理の1つにナクチポックン(ナクチの辛し炒め)というものがあります。この辛いナクチポックンとゴマ油を御飯にかけて一緒に混ぜれば、辛くて香り高いナクチピビンパッの出来上がりです。



   白っぽい線みたいなものがナクチです。たっぷり入っています。



   よ~く混ぜて、いただきます。

・ホッチェサパッ(헛제사밥)
 慶尚北道安東市の郷土料理です。“헛(ホッ)”は偽り、“제사(チェサ)”は法事、“밥(パッ)”は御飯という意味です。法事の時に供えられていた料理は法事が終わった後、御飯に混ぜてピビンパッの様にして皆で食べます。これが美味しく、普段でも食べられる様に出来ないものかと考えた人が法事を行っている様に見せかけ食べた事から「偽りの法事御飯」と言われ、普及して行きました。
 悪霊も含め、霊は香辛料を嫌う事から法事の料理は唐辛子やニンニクを使いません。香辛料を使った料理を供えるとご先祖様の霊が寄りつけなくなるのだそうです。ですから法事の料理は辛くありません。
ピビンパッ以外に安東名産の塩サバ、珍しいところではサメの塩焼きなどと一緒に出されます。

・ユッケピビムパッ(육회비빔밥)
 ユッケ(牛肉の刺身)を乗せたピビムパパッです。ユッケは、漢字で「肉膾」と書いて牛肉の刺身のことです。ユッケには脂身の少ない牛肉を用い、ゴマ油などで下味をつけておきます。器にごはんをよそい、緑豆モヤシ、セリ、ワラビなどのナムルを乗せ、その上にユッケを盛って出されます。コチュジャンをベースにした合わせ調味料を乗せて、食べる際にはよくかき混ぜて食べます。
 ユッケピビムパッの特徴は大豆モヤシでなく、細くやわらかい緑豆モヤシを使っていることのほか、一緒に合わせるスープは必ず牛肉のスープにする、などの決まりがあります。
 ピビムパッの専門店などのメニューに並んでいるほか、焼肉を扱う店のメニューにも並んでいることが多いです。慶尚南道晋州市の郷土料理として知られ、全州ピビムパッ、海州ピビムパッと並んで韓国3 大ビビンパッのひとつに数えられています。
 かつて朝鮮時代に、地方の特色あるピビムパッ、3 種を指して、朝鮮三大ビビンバと称していました。これは、全羅南道全州の全州ピビムパッ、慶尚南道晋州の晋州ピビムパッ(ユッケピビムパッ)と、黄海南道海州の海州ピビムパッの3 種でした。このうち、海州だけは北朝鮮に位置するため、具体的な内容がはっきりと分かっていません。代わりに、現在では慶尚南道安東のホッチェサパッを加えて、韓国三大ピビムパッとすることもあるようです。また全州ピビムパッは平壌ネンミョン、開城タンバン(クッパッ)とともに、朝鮮三大料理の一つにも数えられています。






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